2026年7月25日

無線綴じの入稿データの作り方|背幅・ページ数・塗り足しを印刷会社が解説

無線綴じの冊子は、中綴じと違って背表紙があるぶん、入稿データで決めることが少しだけ増えます。とくに「表紙の背の幅をいくつにすればいいのか」でつまずく方が多く、当社でも入稿後の差し戻しはここに集中しています。

結論から言うと、無線綴じのデータ作成で決めるのは①総ページ数 ②背幅 ③塗り足しの3つだけです。この記事では、その3つの決め方を計算式と実際の用紙の厚みつきで解説します。テンプレートを使えば①と③は自動的に満たせるので、実質つまずくのは②の背幅だけです。

はじめての方へ:やることは、この3つだけです

①ページ数を2の倍数にする → ②背幅(せはば=背表紙の太さ)を出す → ③塗り足し(ぬりたし)3mmを入れる。
このうち①と③は無料テンプレートを使えば最初から入っています。ご自身で考えるのは②の背幅だけで、それも背幅計算ツールで自動計算できます。
専門用語が出てきたら、記事のいちばん下のかんたん用語辞典をご覧ください。

※無線綴じという製本方式そのもの(中綴じとの違い・向いている用途)は無線綴じとは?中綴じとの違いを解説した記事を、部数と費用の話は小ロット印刷の記事をご覧ください。

総ページ数は2の倍数にする(本文16〜200ページ)

無線綴じの総ページ数は2の倍数(偶数)にしてください。kodawari.life では本文16ページから200ページまで対応しています。2ページ単位で増減できるので、18ページ・22ページ・106ページといった指定も可能です。

なぜ2の倍数かというと、1枚の紙の表と裏で2ページになるためです。無線綴じは刷った紙を重ねて背を糊で固める製本なので、紙1枚=2ページの単位で増減できます。

「本文が17ページになってしまった」というように奇数になった場合は、白ページを1ページ足して18ページにするのが一般的な対処です。白紙のままでも構いませんし、奥付やメモ欄、書き込み用のページとして使う方法もあります。どこに白ページを入れるかで読み心地が変わるので、迷ったらご相談ください。

200ページを超えそうなときは

無線綴じは仕上がりの厚み(背幅)が50mmまで製本できます。薄い用紙をお使いの場合はページ数に余裕が出ますので、200ページを超える冊子や厚みが心配な場合は、一度ご相談ください。

ページ数の数え方でよくある誤解が、表紙を本文のページ数に含めてしまうケースです。無線綴じでは表紙(表1・表2・表3・表4の4ページ分)と本文は別のデータとして扱います。「本文16ページ」といえば、表紙をめくった中身だけで16ページという意味です。

「表1〜表4」ってなに?(表紙まわりの呼び方)

印刷業界では、表紙まわりの4ページをこう呼びます。難しく見えますが、要は表紙と裏表紙、そのそれぞれの裏側のことです。
表1(ひょういち)=おもての表紙 / 表2=表紙をめくったすぐ裏
表3=裏表紙の内側 / 表4(ひょうよん)=いちばん後ろ(裏表紙)
つまり「本文100ページ」と言うときは、この4ページは数に入りません

背幅は「表紙厚×2+本文厚×(総ページ数−4)÷2」で決まる

無線綴じの表紙は、背の幅を正確に指定して作る必要があります。背幅は用紙の厚みとページ数で変わるため、同じ100ページの冊子でも、本文用紙が変われば背幅も変わります。

当社が使っている計算式はこちらです。

背幅(mm)= 表紙用紙の厚み × 2 + 本文用紙の厚み ×(総ページ数 − 4)÷ 2

「−4」は表紙の4ページ分を引いています。「÷2」は、紙1枚が2ページ分にあたるためです。つまり「本文が何枚重なるか」を計算して、そこに表紙の厚みを足しているだけです。

式が苦手な方へ:言葉にするとこれだけ

背幅 =「本文の紙の枚数 × 紙1枚の厚み」+「表紙の厚み2枚分」
本文の枚数は本文ページ数 ÷ 2です(1枚の紙に表と裏で2ページ入るため)。
例:本文100ページなら紙は50枚。厚み0.12mmの紙なら 50 × 0.12 = 6mm。そこに表紙(0.19mm)の2枚分 0.38mm を足して6.38mm、というだけの話です。

用紙1枚あたりの厚み一覧

計算に使う実際の数値です。ご注文時に選べる用紙の厚みをそのまま掲載しています。

用紙(連量) 1枚の厚み 使いどころ
グロスコート 73kg 0.067mm 本文・写真が多い冊子
グロスコート 90kg 0.08mm 本文
グロスコート 110kg 0.10mm 本文・表紙
グロスコート 135kg 0.14mm 本文・表紙
マットコート 73kg 0.067mm 本文・文字が多い冊子
マットコート 90kg 0.08mm 本文
マットコート 110kg 0.10mm 本文・表紙
マットコート 135kg 0.14mm 本文・表紙
上質紙 70kg 0.10mm 本文・書き込みをする冊子
上質紙 90kg 0.12mm 本文
上質紙 110kg 0.15mm 本文・表紙
上質紙 135kg 0.19mm 本文・表紙
上質紙 180kg 0.25mm 表紙
淡クリームキンマリ 62kg 0.106mm 本文・読み物向けの色味
淡クリームキンマリ 72.5kg 0.115mm 本文・読み物向けの色味
淡クリームキンマリ 90kg 0.14mm 本文・読み物向けの色味
インペリアルマット 180kg 0.26mm 表紙・しっかりした厚み
OK特アートポスト+ 180kg 0.22mm 表紙
OK特アートポスト+ 220kg 0.27mm 表紙・最も厚い仕様

連量(kg)は紙の厚みを表す単位で、数字が大きいほど厚い紙です。同じ連量でも銘柄によって厚みが違う点に注意してください。たとえば110kgでも、コート紙は0.10mm、上質紙は0.15mmと1.5倍の差があります。

背幅の早見表(計算しないで目安を知りたい方へ)

よく選ばれる組み合わせで、あらかじめ計算した背幅です。表紙に上質紙135kg(0.19mm)を使った場合の数値で、縦が本文のページ数、横が本文用紙です。

本文ページ数 グロスコート90kg 上質紙70kg 淡クリームキンマリ72.5kg 上質紙90kg
32ページ 1.66mm 1.98mm 2.22mm 2.30mm
64ページ 2.94mm 3.58mm 4.06mm 4.22mm
100ページ 4.38mm 5.38mm 6.13mm 6.38mm
150ページ 6.38mm 7.88mm 9.01mm 9.38mm
200ページ 8.38mm 10.38mm 11.88mm 12.38mm

この表はあくまで目安を知るためのものです。表紙の用紙を変えた場合や、表にない組み合わせのときは、背幅計算ツールで実際の数値をご確認ください。

計算してみる(A5・本文100ページの例)

表紙に上質紙135kg(0.19mm)、本文に上質紙90kg(0.12mm)を使い、本文100ページ+表紙4ページ=総104ページの冊子を作る場合。

0.19 × 2 + 0.12 ×(104 − 4)÷ 2
= 0.38 + 0.12 × 50
= 0.38 + 6.0
6.38mm

同じページ数でも、本文をグロスコート73kg(0.067mm)に変えると背幅は3.73mmと、約4割も細くなります。用紙を変更したら背幅を計算し直す——これが無線綴じのデータ作成でいちばん大切な原則です。

手計算が面倒な場合は、用紙とページ数を選ぶだけで背幅が出る背幅計算ツールをご用意しています。計算結果に合わせた表紙テンプレートもその場で生成できます。

表紙は「見開き1ファイル」、本文は別ファイルで作る

無線綴じの入稿データは、表紙と本文の2ファイルに分けてご入稿ください。

表紙で間違えやすいのが並び順です。並び順は開き方向によって左右が入れ替わります。冊子を開いて広げた状態を思い浮かべてください。

左開き(横書き:報告書・マニュアルなど) 表4(裏表紙) 表1(おもて表紙) ★ここが右端 ※おもての表紙が右側。冊子は左から右へめくります。 右開き(縦書き:小説・文集など) 表1(おもて表紙) ★ここが左端 表4(裏表紙)
表紙データの並び順。黄色の細い帯が「背」(背幅の分だけ幅をとります)。

左右を逆に作ってしまう事故がときどき起こります。ご注文時に選んだ開き方向と合っているか、書き出す前に一度確認してください。

本文は「見開き(2ページが1枚に並んだ状態)」ではなく、1ページずつにしてください。面付け(印刷用にページを並べ替える作業)は当社で行いますので、ページ順に並んだPDFをそのままいただければ大丈夫です。

塗り足しは全ページ3mm、解像度は350dpi以上

背景の色や写真を紙のフチまで届かせたい場合は、仕上がりサイズより3mm大きく作ってください。この3mmを塗り足し(裁ち落とし)と呼びます。

冊子は最後に断裁して仕上げますが、断裁位置には必ずわずかなズレが出ます。塗り足しがないと、そのズレの分だけ紙の白いフチが出てしまいます。逆に、塗り足しさえ入れておけばズレても白が出ません。

文字・ロゴはここまで ◀ 背景は外側までベタ塗り(塗り足し3mm) ① 塗り足し(3mm) 背景・写真をここまで伸ばす ② 仕上がり線(破線) ここで断裁される=完成サイズ ③ 内側の安全エリア 文字はここより内側に置くと安心 ※断裁は必ず少しズレます。塗り足しがないと  フチに白い線が出てしまいます。
塗り足しのイメージ。黄色い部分が「切り落とされる前提で塗っておく」3mmです。

画像の解像度は350dpi以上を目安にしてください。画面で見るぶんにはきれいでも、Webから拾った画像(72dpi前後)はそのまま印刷すると輪郭がぼやけます。文字はアウトライン化していただくと、フォントの置き換わりによる事故を防げます。

ノド側の余白は広めにとる(無線綴じ特有の注意)

無線綴じは背を糊で固めるため、中綴じほど大きく開きません。そのため、綴じ側(ノド)にある文字や写真は、開いたときに谷間に入り込んで読みにくくなります。

実務上は、ノド側の余白を外側より5mm程度多めにとると読みやすく仕上がります。ページ数が多い冊子ほど開きにくくなるので、100ページを超えるような冊子では特に効いてきます。

文字を置く範囲 文字を置く範囲 ノド(綴じ側) ← この谷間に文字が入り込むと読めなくなる 外側 外側
中央(ノド)の余白を外側より5mmほど広くとると、開いたときに読みやすくなります。

見開きで写真を大きく使いたい場合も、中央にいちばん見せたい部分(人物の顔など)が来ないよう配置をずらしておくと安全です。この点は中綴じのほうが有利なので、見開きを多用するデザインなら綴じ方そのものを再検討する価値があります。

無料テンプレートを使えば設定は済んでいる

ここまでの設定を最初から自分で作るのは大変なので、サイズ別の無料テンプレートをご用意しています。塗り足しとトンボ(断裁位置の目印)が入った状態なので、中身を配置するだけで入稿データになります。

表紙テンプレートは背幅によってサイズが変わるため、先に背幅計算ツールで計算し、その結果に合わせて生成されたテンプレートをお使いいただくのが確実です。

PDFの書き出し手順そのものに不安がある方は、Word・PowerPoint・IllustratorからのPDF書き出しガイドもあわせてご覧ください。

入稿前のチェックリスト

ご入稿の直前に、この5点だけ確認してください。当社で実際に差し戻しが発生している箇所です。

  1. 本文の総ページ数は2の倍数(偶数)になっているか(16〜200ページ)
  2. 表紙の背幅は、実際に使う用紙とページ数で計算し直したか
  3. 表紙の並び順は左から 表4 → 背 → 表1 になっているか
  4. 本文は見開きではなく1ページずつのPDFになっているか
  5. 全ページに塗り足し3mmが入っているか

不安な点があれば、入稿前の段階でご相談いただいて構いません。データの確認は無料で行っており、修正が必要な箇所があればこちらからお知らせします。

かんたん用語辞典(この記事に出てくる言葉)

印刷業界の言葉は、意味さえ分かってしまえば難しくありません。この記事に出てきた用語だけまとめました。

用語 読み方 かんたんに言うと
無線綴じ むせんとじ 背中を糊で固める製本。背表紙ができる、いわゆる「本」の形
背幅 せはば 背表紙の太さ。厚い紙・多いページほど太くなる
表1・表4 ひょういち・ひょうよん 表1=おもての表紙、表4=裏表紙。表2・表3はそれぞれの内側
塗り足し(裁ち落とし) ぬりたし(たちおとし) 仕上がりより3mm外まで背景を伸ばしておく部分。切り落とされる前提の余白
断裁 さいだん 印刷後に仕上がりサイズへ切りそろえる作業
トンボ とんぼ どこで断裁するかを示す目印の線。テンプレートに最初から入っている
ノド のど 冊子の綴じ側(中央)。開いても谷間になって見えにくい部分
面付け めんつけ 印刷機にかけるためにページを並べ替える作業。当社で行うので不要
連量 れんりょう 紙の厚みを表す単位(kg)。数字が大きいほど厚い
dpi ディーピーアイ 画像の細かさ。印刷は350dpi以上が目安(Web画像は72dpi前後で粗い)
アウトライン化 あうとらいんか 文字を図形に変換すること。フォントが別の書体に化ける事故を防げる

まとめ

無線綴じの入稿データで決めるのは、総ページ数・背幅・塗り足しの3つです。テンプレートを使えば総ページ数と塗り足しは自動的に満たせるので、実質は背幅の計算だけと考えて差し支えありません。

その背幅も「表紙厚×2+本文厚×(総ページ数−4)÷2」という単純な式で、用紙とページ数さえ決まれば一意に決まります。背幅計算ツールを使えば計算そのものも不要です。

はじめてで不安な場合も、データの確認は無料で行っています。「これで合っているか分からない」の段階でご相談いただいて構いませんので、お気軽にお声がけください。

kodawari.life の無線綴じ冊子印刷は1冊から・全品送料無料、最短7営業日で出荷しています。卒業文集や記念誌としてお作りになる場合は卒業文集・記念誌のページもご覧ください。

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